湖畔の宿 ー 高峰三枝子
2012-08-31 Fri 12:33
湖畔の宿

女優歌手というのは、海外でもジュリー・ロンドンやダイアナ・ドースなどのいっぱしのシンガーが数多くいたが、この日本でも昭和の初期に女優歌手のハシリといわれた高峰三枝子や、実際は日本人なのに軍部の片棒をかつがされて中国人と喧伝された李香蘭 (本名山口淑子) などがいた。

高峰は、昭和 12 年 ( 1937 年) に公開された映画『浅草の灯』で演じた踊り子役で、歌を口ずさむシーンが話題となり、昭和 14 年 (1939 年) 「純情二重奏」で歌手デビューを果たして女優歌手の先陣を切ったわけだが、歌手としての人気を決定付けたのは、昭和 15 年 (1940 年) に発表された作詞・佐藤惣之助、作曲・服部良一の手による「湖畔の宿」であった。

山の淋しい湖に
  
ひとり来たのも悲しい心・・・

という歌いだしで始まるこの歌は、その歌詞の通りしっとりとした情感を湛えた歌で 16 年に入ってジワジワと流行り始めたとたん、その感傷的な歌詞の内容と哀感のあるメロディが戦意を喪失させるとのことで発売禁止となった。

だが、戦地への慰問では必ず兵士からのリクエストがあったとされ、「この歌を聴いた若い兵隊さんたちが、そのまま出撃していった姿が忘れられません」と高峰自身も語っていた。

当時、歌は戦意高揚のための軍需品と考えられており、政府は勇壮な軍歌で士気を高揚させようとしたが、民衆の心は裏腹で、ひそかに

きのう生まれた 豚の子が

蜂に刺されて 名誉の戦死

豚の遺骨は いつ還る・・・

という替歌にしてこっそりと歌い継がれていたという。

湖畔の宿
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